关于绫辻行人作品中的叙述性诡计——以《十角馆事件》和《钟表馆事件》为例;綾辻行人作品における叙述トリックについて——『十角館の殺人』と『時計館の殺人』を例として毕业论文

 2021-03-31 11:03

摘 要

绫辻行人是日本“新本格”推理小说的代表作家之一,其作品具有惊险离奇的情节和耐人寻味的结局,以叙述性诡计的文学手法而成为众所瞩目的新锐作家。然而,关于绫辻行人的研究目前尚未得到学界的重视,处于起步的阶段。

因此,本文以绫辻行人的推理小说“馆系列”为研究对象,通过重点分析其中的《十角馆事件》和《钟表馆事件》两部作品,从情节发展、叙述方式,以及虚构和现实的结合等方面,探讨绫辻行人作品中叙述性诡计的巧妙运用。

绫辻行人的作品是日本推理小说界重要的组成部分。理解其作品中的叙述性诡计的手法,也能帮助我们更好地理解“新本格”推理小说的特征。

关键词:绫辻行人;新本格;十角馆;钟表馆;叙述性诡计

要 旨

綾辻行人は日本の「新本格」ミステリ小説の代表的な作家である。彼の作品の中には不思議なストーリー及び意味深長なエンディングがある。とりわけ叙述トリックの手法によって人々に注目されている。しかしながら、これまでの綾辻行人についての研究は、まだ萌芽期の段階にとどまっている。

そのため、本論文は綾辻行人の推理小説「館」シリーズに着眼し、主に『十角館の殺人』並びに『時計館の殺人』を例として取り上げ、小説のプロットの構成、ストーリーの展開、また虚構と現実の取り合わせについて分析し、綾辻行人が持つ独特の叙述トリックの巧みを明らかにするものである。

綾辻行人の作品は日本ミステリ小説の組み立てにおいて欠かせない部分である。作品が持っている独特な叙述トリックを理解できるなら、新本格ミステリの特徴も明らかになると考えられる。

キーワード: 綾辻行人;新本格;叙述トリック;『十角館の殺人』;『時計館の殺人』

目 次

  1. はじめに 1
    1. 研究動機 1
    2. 先行研究 1
    3. 研究目的 2
  2. 「館」シリーズと叙述トリック 3
    1. 綾辻行人の代表作「館」シリーズ 3
    2. 推理小説と叙述トリック 3
  3. 『十角館の殺人』――信頼できない語り手 5
    1. 転換する人物の視点 5
    2. 読者を誤認させる心理描写 7
    3. 統一しないニックネームと本名 9
  4. 『時計館の殺人』――夢と現実 12
    1. 交錯する時間と空間 12
    2. 「寝言」で混同させる現実と非現実 13
  5. 終わりに 17

参考文献 18

謝 辞 19

綾辻行人作品における叙述トリックについて

─『十角館の殺人』と『時計館の殺人』を例として─

はじめに

研究動機

綾辻行人とは日本の推理小説家である。1987 年に島田荘司の推薦により『十角館の殺人』でデビューした。「新本格ムーヴメント」の嚆矢となり、新本格ミステリー作家として知られている。1992 年、『時計館の殺人』で第 45 回日本推理作家協会賞を受賞した。「館」シリーズと呼ばれる一連の長編は現代本格ミステリーを牽引する人気シリーズとなった。ほかに『どんどん橋、落ちた』、『緋色の囁き』、『殺人鬼』、

『Another』などがある。

リアリティをミステリーの根幹とする一般的な推理小説に比べ、綾辻行人は作品にホラーやゴシックの世界観を持ち込んだ。また、叙述トリックの名手である綾辻の作品には不思議なストーリー及びどんでん返しがあり、注意しながら読んでいても騙されてしまう可能性がある。作品には心象描写が非常に多く、叙情的な修辞を持つ幻想文学の様な文体を用いる。

しかしながら、これまでの綾辻行人についての研究は、まだ萌芽期の段階にとどまっている。そのため、本論文は綾辻行人の作品を取り上げ、とりわけ作品に用いられる叙述トリックに焦点を当て、作品への新たな解読を提示しようとする。

先行研究

大川一夫は「綾辻氏のデビュー作には、日本ミステリ上に残る華麗なる肩書きが入れられる」、「綾辻行人をはじめとして、新本格派が一つのジャンルを築いていることは誰も否定しえない」1と述べている。「新本格」という概念は、現在ミステリー

1大川法律事務所 趣味の頁http://www.okawa-law.com/hobby/holmes.html(2018 年 4 月 15 日閲覧)

小説の研究において、常に「社会派」と比較する研究や本格ミステリー発展の研究に利用され、作品そのものをよりつぶさに分析するものは少ない。とりわけ、綾辻行人の作品に関するテキスト分析や新本格とのかかわりについては、まだ十分には検討されていない。

一方、叙述トリックはミステリー小説におけるトリックの一種として知られている。叙述トリックに関するこれまでの研究では、「信頼できない語り手」の技法を分析し たもの(李春喜.「信頼できない語り手」再考:物語論的な見地から[D].関西大学,

2007.)は多く見られるものの、「二重の手掛かり」などの側面に関する検討はほとんど見られない。従って、本論文は綾辻行人の作品を分析する際に、「二重の手掛かり」に着眼して叙述トリックを考察する。

研究目的

本論文の目的は、綾辻行人の代表作品「館」シリーズ、主に『十角館の殺人』並びに『時計館の殺人』に関わる小説のプロットの構成、ストーリーの展開、また虚構と現実の取り合わせを分析し、綾辻行人が持つ独特の叙述トリックの巧みを考察することである。綾辻行人の作品は日本ミステリー小説の組み立てにおいて欠かせない部分である。作品が持っている独特な叙述トリックを理解できるなら、新本格ミステリの特徴も明らかになると考えられる。

2「館」シリーズと叙述トリック

綾辻行人の代表作「館」シリーズ

「館」シリーズは綾辻行人の長編小説シリーズである。日本を代表するミステリー小説であり、後のミステリー小説に大きな影響を与えた作品とも言われている。探偵役を務める島田潔が、亡くした変人建築家の中村青司が築き上げた奇妙な建物に魅せられ、訪ねていく。すると、そこでは凄惨な殺人事件が起こる。

「館」シリーズの特徴は、「隠し通路」並びに「隠し部屋」という本格ミステリ小説の禁じ手にも用いて、謎解きだけではなく、神妙奇怪な綾辻行人ならではのミステリ世界観、それに叙述トリックによる巧妙などんでん返しである。綾辻行人が幼い頃からホラー映画、マンガなどを好んでいたため、「館」シリーズもホラーの雰囲気に包まれる。

ちなみに、ミステリー小説家の島田荘司を尊敬するので、綾辻行人が生み出した探偵――島田潔の名は、島田荘司の苗字並びに作品の中で登場する探偵「御手洗潔」からなったものである。

推理小説と叙述トリック

推理小説とは「謎解き」の形式をした物語のことなのである。推理作家我孫子武丸は、叙述トリックを小説における作者と読者の間の暗黙の了解のうちの一つあるいは複数を破ることによって読者を騙すトリックと定義する。1つまり、作者は読者の先入観を利用し、登場人物の性別、事件の発生時点など、一部の事実をわざと曖昧にすることによって、読者に誤った判断を起こらせ、虚構世界そのものを作り上げるのである。

叙述トリックには「人物」、「時間」、「場所・状況」、「物品」、「行為」、「動機・心理」、「その他」、「逆叙述トリック」2という八つのパターンがある。一作 品で使われるパターンは必ずひとつではなく、組み合わせのパターンもよく見られる。

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